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2025.09.19

╲第35回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)カンヌ大会にて発表しました/

2025年9月15日から18日にフランス・カンヌにて開催されました第35回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC 2025)にて、DRCは下記の演題をポスター発表しました。

 

研究タイトル:真皮由来のインテグリンリガンド/Cyr61は老人性色素斑の維持に寄与する。

(Integrin ligands/Cyr61 from the dermis: modulators of epidermal aging, including persistent pigmented spots.)

 

発表者:試験部 in vitro試験グループ 鶴田 純将

 

発表内容:

シミ(色素斑)は、多くの人が悩む代表的な加齢による肌の外観変化のひとつです。これまで、シミの改善に関しては、主に表皮でのメラニン産生異常が注目され、色素細胞によるメラニン産生機構や、表皮細胞から産生されるメラニン産生関連メディエーターに関する研究がおこなわれてきました。

しかし近年、表皮より深い部分にある真皮の老化がシミの形成・維持に関与している可能性が指摘されています。

私たちの研究では、表皮細胞は恒常的に増殖しターンオーバーしているにもかかわらず、加齢によって生じる「シミ」がなぜ消えにくいのかを明らかにすることを目的としました。特に表皮細胞よりも長期間皮膚内にとどまる真皮線維芽細胞に着目し、シミの持続における「線維芽細胞から表皮細胞への影響」という経路に着目し、情報伝達物質のひとつとして、Cyr61がこの過程に寄与していることを確認しました。

線維芽細胞の老化によって産生亢進されるタンパク質であるCyr61が表皮細胞に作用し、メラノソームの取り込みを促進することでシミの持続に寄与していることを明らかにしました。また、この現象はヒト摘出皮膚を用いた実験でも再現されました。

さらにCyr61は色素細胞に対して作用し、メラニン産生を高めることは既に報告されています。すなわち、線維芽細胞の老化によって産生されるCyr61はシミの「形成」と「維持」の双方に関与する重要な因子であることが示唆されました。

これらの成果は、今後のシミ予防や改善に向けた新しい発想とアプローチにつながることが期待されます。

 

DRCは今後も皮膚科学分野の研究を通じて皮膚に対する理解を深め、最新の知見を取り入れた新しい評価法の開発に取り組んでまいります。

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