DRC BASIS

2024.03.28

DRCの技術力

DRCがこだわり続ける技術力の向上

価値観を変えたヨーロッパ試験機関視察

  • 価値観を変えたヨーロッパ試験機関視察

    化粧品や食品などの人々の生活に関わる商品の安全性や有効性を評価する「第三者評価機関」であるDRCは、設立11年目の2010年に世の中から求められる役割を見つめ直す必要がありました。
    業界の理解を深めるため、外部パートナーや同業者との打ち合わせを重ねていた頃、先代の顧問と話をする機会がありました。我々の置かれている状況や抱えている課題を話し合う中で、「近々フランスで開催される学会へ出席するが、DRCも一緒に行ってみますか?」と一言。我々にとっては思いもよらない申し出と、即決でフランス行きを決めました。
    こうしてあっという間に決まった世界中の最先端の化粧品開発技術と知識が集まるフランスへの視察。
    この視察が、後のDRCを大きく変革するきっかけとなりました。

レベルの高さを目の当たりにして感じた「驚きと焦り、そして高揚感」

このフランス視察においての一番の学びは「評価機関としてのプライドと情熱」でした。

現地到着後、事前にアポイントメントを取っていたフランスの評価機関や化粧品メーカーを訪れ、仕事について、業界について、技術について、化粧品開発とその評価について等々、見学や聞き取りを行いました。
日本の評価機関と比べると、あらゆる点で明確な差がありました。働く人々の意識や技術力の高さはもちろんのこと、業界における「評価機関」というポジションの重要性と責任感の差に雷に打たれたような衝撃を受けました。
例えば、現地の評価機関ではtoxicologistという毒性学専門家が常駐していました。一方、当時の日本の評価機関では毒性の査定をする専門家を配置している企業はほぼ皆無でした。フランスの評価機関の安全意識の高さに強いに感銘を受けました。また、評価機関の社長が化粧品業界団体の主要なポストに配置されており、評価機関の地位の高さと重要性にも驚きました。

日本の化粧品業界では評価機関は賛助的な立場であり、メーカーに対するスタンスが大きく異なっていることに気付かされたのです。メーカーの希望に応えることがいつしかゴールとなっていましたが、評価機関として、化粧品業界を構成する一員として、世の中への責任を果たすために主体的に取り組むべきだ。
─そう強くそう感じました。

化粧品業界の最先端の国への視察を通じて、日本とのレベルの差を痛感しましたが、同時に、「DRC、延いては日本の評価機関全体のスタンダードを変えていかなければいけない」という使命感が沸々と湧き上がってきました。

挑戦への一歩:技術力向上と学会発表

そこから私たちの戦いが始まりました。

フランス視察で最も衝撃を受けたことは、業界内での評価機関の地位の高さ。しかし、これは多くの関係者や企業から実力を認められて至る長い道のりの先にあり、簡単に実現できることではありません。
そこで我々は、その「業界内での地位向上」を目先のアクションプランではなく最終ゴールと位置づけ、まずは「技術力の向上」を目指すことに焦点を当て、社内教育制度の整備と研究開発へのリソース投入に専念することにしました。
高度な専門技術を取り入れ、さまざまな研究に挑戦し、学会での発表にも参加しました。こうした取り組みにより、我々の意識が徐々に変化し、DRCの事業領域も拡大していきました。

  • オーダーメイド試験という武器へ

    あの視察以降、我々は地道に技術を追求し、何度も研究と努力を重ね続けました。その結果、積み重ねた知見は価値となりDRCにとって大きな武器となりました。
    今では、評価試験をご依頼いただく際に、単なる「外注業者」ではなく、商品開発の「パートナー」としてご相談をいただけることも増え、少しずつですが業界内での評価機関の地位やDRCという会社の価値が向上していることを感じます。また、製品評価や研究活動の経験や知見が蓄積された結果、画一化された評価だけでなく、企業や商品に合わせたオーダーメイドの評価を提案できるようにもなりました。

    評価機関は単なるメーカーのアウトソーシング先ではなく、世の中へ責任を果たすために評価していることを強く意識しています。あのフランス視察は、我々が評価機関としてのプライドを持ち、意識を大きく変えるきっかけとなった特別な経験でした。

続く挑戦

全ては、あの日のフランス視察がきっかけでした。自分たちの信念を貫き続けることがどれだけ大切か、気付かされる毎日です。これからも、DRCとして、日本の評価機関として、世の中に責任を果たすために研究と努力を重ねていきます。

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